先日12月24日にリリースしたシングル曲「I Still Don't Know」の制作裏話?を少しお話ししたいと思っています。
この曲は私のオリジナル曲で、
オーストリアの詩人リルケの詩から影響を受けて作曲しました。
実はこのような詩の世界を音楽で表現してみたい、とは前々から思っていたのですが、
途中までは作れてもなかなか完成せず、お蔵入りになっていました。
ですがある時ふと、また作ってみようという気になって、
半年くらいかけて、やっと一つの形にまとまりました。
結局現在は、前からお蔵入りしていたメロディーと、本編I Still Don't Knowをくっ付けて完全版としています。
(この完全版は音源には収録されていないのですが、いつかライブでやりたいと思っています)
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○曲ができるまで
作曲をする時にしばしば話に上がることの一つに、メロディーとコード、どちらを先に作っていくのか、というものがあります。
私はたいていの場合、メロディーが先に出来上がって、後からコードを付けていく、という順番で作っています。
ですが、メロディーを作っている時点で、コード進行の基礎になる部分は同時に想像しているようにも思います。
この曲I Still Don't Knowは、作っている途中で、あるジャズスタンダードナンバーに似ている、ということに気がつきました。
皆さんは気づきましたか?
実はこれに気がついてくれた方はまだいないのですが、
Vincent YoumansのWithout a Songです。
似てるといっても、メロディーはもちろん違うのですが、
大枠のコード進行(冒頭部分)がほとんど同じです。
この曲は、今回の演奏のピアニスト・David Bryantとデュオを想定して書き始めたのですが、
私たちはライブでよくWithout a Songを演奏していたので、
こんなところで曲のアイディアが出てくるなんて面白いなと感じました。
最終的にI Still Don't Knowは、Without a Songからかなりコード進行をいじって、完成しました。
こんなコードを弾いてもらえたらいいな、と考えながら曲を作るのは楽しかったです。
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○リルケの詩について
一言で言うのは難しく、また印象を決定づけることは私にとってはまだ早いと思うのですが、
リルケの作品は、内省的に生きていくことへの深い覚悟があり、静かだけれど芯が強く、
とても厳しい自己探求の世界にいるのだけど、その世界の行き着く先にいつも希望を持っている、というような印象を私は抱いています。
人々はいつも、さまざまな問いに対して答えを探しています。
ただし答えはすぐにこれだ、というものが出るものではなく、生きているうちにどんどんと答えが更新されていくものかもしれません。
なので答えをすぐに断定せずに、
現時点での「私」を更新し続けていくのが良いのでしょう。
今回の曲の中でも、私たちは今の私をそれぞれ生きようとしています。
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○ジャケットデザインについて
ところでこのシングルのジャケットは、
後ほど発表する2nd アルバムとはまた別のデザインを作っていただきました。
デザインは和田陽介さん
写真は中村治さん
このデザインは赤い螺旋状の円が印象的なのですが、
これはデザイナーの和田さんが、リルケの詩の印象から作ってくださったんです。
リルケの詩、Ich lebe mein Leben in wachsenden Ringenは
こんな一節から始まります。
もろもろの事物(もの)のうえに張られている
成長する輪のなかで私は私の生(せい)を生きている
たぶん私は最後の輪を完成することはないだろう
でも 私はそれを試みたいと思っている
(富士川英郎 訳)
このジャケットの円も、よくみると綺麗な楕円ではなく、少しいびつな形をしているところが、何だかぐっときます。
ぜひぜひ、シングル配信「I Still Don't Know」を聴いてみてください。
それから、もう少ししたらアルバムの発売もありますので、続報を待っていてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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I Still Don't Know
江澤茜 (アルトサックス)
David Bryant (ピアノ)
Recorded on July 8, 2025
Recorded & Mixed by Neerej Khajanchi
Recorded & Mixed at NK SOUND TOKYO
Masterd by NK @ AQQA Mastering
Art Direction & Design: Yosuke Wada(soak)
Photograph: Osamu Nakamura

