NYに来て2週間が経ちました。
来て数日は、毎日新しい人に出会うこと、英語で話しメッセージを送ること、ひたすら警戒しながら街を歩くことなど、新しい環境に目が回りそうなほど刺激を受けてぐるぐるしていましたが、ようやく少し慣れてきたように思います。

こちらに来る前は、何とかして自分の成長に繋がる何かを掴んで来なきゃいけない、と勝手に気負って気が重くなっていましたが、
来てみてしまえば素晴らしいものと刺激的なものの連続で、そう気負う必要もなかったのかも、とも思います。また若しくは、たった1ヶ月いた程度では何も分かるようにはならない、とも感じています。

音楽について
毎日ライブやジャムセッションをハシゴしています。ニューヨークのライブは基本的に1setで入替で夜中までやっているので。

今まで日本で色々な人からアドバイスをいただいてきた様々なこと、言葉では知っているけど実際にはよくわかっていなかったことなどを、「それってこういう事だよ」というように音楽がたくさんの証拠を出してくれる、それが当然のようにステージで行われている、という印象です。

今のところ一番の思い出になっているのはMezzrowでのMichael Kanan(pf)のトリオで、これは本当に素晴らしく目頭が熱くなりました。ニューヨークにはオリジナルを演奏する人もスタンダードを演奏する人もいます。彼はスタンダードナンバーを中心に少しメンバーのオリジナルなど。
とてもリラックスしていて、スウィングしていて心躍ります。彼からスウィングが迸っているよう。スウィングは縦だけでも横だけでもなく、奥行きの深いものだということを彼のトリオは教えてくれます。ジンジャーユーさんの作ったGinger Blossomという曲とても可愛らしい曲をやっていて、それが凄く素敵でした。

SmallsでのJosh Evans(tp)のクインテットも素晴らしかった。こんなにハイレベルな演奏が簡単に聴けることに驚きです。各々が自立したタイムを持ち、共有している。ニューヨークの人達はタイムを人任せにすることがない。応答だけでなく同時にインプロヴァイズをしている。感覚が研ぎ澄まされたようなライブでした。

個人的にはサックスのTim Greenのレッスンも受けられました。とても基本的なことを教わりましたが目から鱗でした。「Sonny StittとJackie McLeanはとてもタンギングが強い。またSonny StittとSonny RollinsのEternal Triangleは一般的に、Rollinsの方がなめらかでスウィングしていると言われている」と言っていたのが特に印象的でした。後でそのアルバムを聴いてみると、Rollinsは確かに圧倒的に奥行き深くスウィングしているのです。

生活について
街中に多くの人種が混在していることに驚きました。そしてみんなが流暢に英語を喋っています。
電車の中では平気に大音量で音楽を流すし、大声で喋るし、足を広げて座るし、でも誰もそれを気に留めていない。みんなが自由な格好をしているし、駅のホームで演奏してる人がたくさんいるし、車内でパフォーマンスを始める人もいる。カフェテラスではたくさんの人がご飯を食べていて。
通りかかったカフェで演奏していた人達が、ちょっと混じらない?と言って演奏を一緒にさせてくれるなど。

「私は自由にやるけど、あなたも自由にどうぞ」という街だと思う。

また日本人であるということは立派なアイデンティティであるということを強く感じています。日本にいた時は気づかなかったけれど。多くの人達が自分の人種のことを音楽に、生活に、ファッションに、反映させている。
街中に音楽が流れている。生演奏している人が本当に多い。カフェで話しかけてくれた女性は、「これは私たちの文化だからね」と言っていました。

お世話になっている皆さん、どうもありがとうございます。
後半2週間も楽しみます。